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ブータンにおける地域保健医療体制の向上事業の実施と政策提言

地域での保健医療ニーズは、日本以上に、発展途上国で深刻な課題となっています。
今般、現場に根差した政策案作りを行う「Policy maker lab」(代表:福岡 功慶)の第二期メンバーである平山貴一が、本会の活動を通じて得た知見や考察等を元に、2024年10月から11月にかけて、ブータン王国にてフィールドワークや政策提言等を行いました(※)。
具体的には、タシガン県におけるカンルン地域での障害児を持つ離婚家庭等の支援活動、県内の障害児向けの地域包括ケアに係るフォーラムの開催、ビドゥン地域のコミュニティ支援、ブータン政府(保健省・教育省)への地域ケア会議体の運営に関する予算やスキーム情報等を盛り込んだ政策提言等を実施しました。

(※)活動は、独立行政法人国際協力機構(JICA)の「ブータン国東部タシガン県における大学-社会連携による地域づくりに関する人材育成開発支援(JICA草の根パートナー型)」事業の支援を受けたものです。

ブータン政府(保健省・教育省)に提案した政策案はこちら↓

取組全般の詳細はこちら↓(Facebookページへ)
https://www.facebook.com/profile.php?id=100083134548473

平山貴一コメント:ブータンのように、プライマリヘルスが地域にも拡大していくその間に取り残されている高齢者や障害者が地域にも在住しており、ケアをする家族や子どもがいます。首都ではNGOなどのリソースがありますが、地方にニーズには届いていないことがあります。フィールドワークの経験から、実際にお宅に訪問して課題をアセスメントし、ステークホルダーと協働するソーシャルワークが今後必要になることを実感しています。
日本で行われている地域ケア会議を参考に、ブータンでもステークホルダーを集めて、課題を抱えた障害者とその家族のケースを対象に地域ケア会議を開催しました。その家族に対する議論だけでなく、今後の村の他の障害者への行政と医療者の協働の場にもなりました。そこで、ケースから政策を立案するための政策を今回ブータン政府に提言しました。また、発達障害の子やケアをする学校の先生が地方に取り残されており、先生たちが発達障害について学び、対応を実際のケースで話し合えるフォーラムを開催しました。PMLでの課題から政策に繋げる経験が活かされました。これらは村で一緒に過ごす子どもたちの今と未来が少しでも明るいものになればという想いで提案していますが、ブータンだけでなく、これから先進国になっていく国にも参考にできるものではないかと考えています。