2026 年 6 月 20 日(土)、京都大学(百周年時計台記念館 百周年記念ホール、法経済学部本館および東館)にて開催された、一般社団法人日本医療政策学会主催の「第 2 回日本医療政策学会学術集会」に、現場に根差した政策案作りを行う「Policy makers lab」(代表:福岡 功慶、以下「PML」)のメンバーが、企画シンポジウム、一般演題、及び学生セッションへの登壇を通じて参画しました。
PML からは、代表の福岡 功慶、Managing partner の十川 麗美・平山 貴一、Research fellow の稲葉 可奈子がそれぞれ登壇し、平山は Young Investigator Award(YIA)優秀賞を受賞しました。
本学術集会は、大会長の近藤 尚己(京都大学)の下、「公正性と包摂性を目指す EBPM ―『誰も取り残さない』医療政策のマネジメントと評価を考える」をテーマに開催されました。研究者、政策立案者、医療従事者、産業界、患者等の多様なステークホルダーが議論を交わす中、PML の登壇者も、現場で捉えた問題を政策案へとつなぎ、その実装を目指す日頃の取組について、それぞれの発表と対話を通じて共有しました。
また、PML Managing partner の植野 剛は、PML と本学術集会をつなぎ、企画シンポジウム③の実現に関わりました。なお、本学術集会では、京都大学 大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 社会疫学分野の一員としてプログラム委員・実行委員を務め、企画・運営にも携わりました。
-PML メンバー一同(正面左から 植野 剛、福岡 功慶、河野 勝紀、平山 貴一、十川 麗美、糀谷 泰彦、宮脇 大、坂本 雅純)-

※「第 2 回日本医療政策学会学術集会」開催報告はこちら↓(一般社団法人日本医療政策学会のページへ)
https://jhpra.jp/202607131239/
PML メンバーの主な参画内容
PML Managing partner の十川 麗美は遺伝教育をテーマに、認定遺伝カウンセラーの取組や遺伝教育に求められる政策案についての講演を行いました。
同じく Managing partner の平山 貴一は、災害復興と国境医療におけるレジリエンス設計の実践をテーマに、フィールドと政策をつなぐ Field-based Policy Making に関する講演を実施し、優秀賞を受賞しました。
また Research fellow の稲葉 可奈子は学生セッションで 2040 年の医療制度に関するパネルディスカッションに登壇しました。
※平山の講演と優秀賞受賞についてはこちらもご覧ください。
そして代表の福岡 功慶は、「企画シンポジウム 医療政策形成と実装をつなぐ対話 ―多様な組織の提言から共通課題と将来像を整理する―」に登壇し、PML の活動実績の紹介や将来像、日本医療政策学会に求めること等を講演し、他登壇者とのパネルディスカッションを実施しました。
加えて PML Managing partner の糀谷 泰彦は、日本医療政策学会や PML の取組を総括して本ページ末尾に所感を寄せています。
学生セッション後の記念写真(稲葉は正面左から 2 人目)

福岡登壇の様子

学会内では様々な方との交流も活発に行いました。とりわけ
- PML の提供している政策案の作成メソッドは大学の医学部等の課程では扱われないが、Public relation において大変重要であり、医療政策に携わる医療者等にさらに普及していくことが望ましい
- 今後も PML との連携の機会があればありがたい
といったお声を多数頂戴できました。
登壇実績
| セッション | 演題・テーマ等 | 登壇者(PML役職) |
|---|---|---|
| 一般演題:健康格差・アクセス格差 | 遺伝性腫瘍を起点とした遺伝教育に関する政策提言:学校教育・市民啓発の新たな方向性 | 十川 麗美(Managing partner) |
| 一般演題:YIA | 現場から動かす医療政策 ―災害復興と国境医療におけるレジリエンス設計の実践 | 平山 貴一(Managing partner) |
| 学生セッション | 日本医療のこれから15年を語る ~識者と学生の対話から展望する2040年の医療制度~ | 稲葉 可奈子(Research fellow) |
| 企画シンポジウム | 医療政策形成と実装をつなぐ対話 ―多様な組織の提言から共通課題と将来像を整理する― | 福岡 功慶(代表) |
登壇者コメント
植野 剛コメント
今回、京都大学 大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 社会疫学分野の一員として、プログラム委員・実行委員を務め、本学術集会の企画・運営に携わらせて頂きました。
企画シンポジウム③についても、プログラム委員として、多様な組織による政策提言を同じ場に持ち寄る企画の検討に関わり、その中で、私自身も活動する PML を、複数の参画組織の一つとして本学術集会につなぎました。異なる組織がそれぞれの政策提言を紹介するだけでなく、共通する課題を持ち寄り、政策形成から実装までをどうつなぐかを同じ場で議論できたことに、大きな意義を感じています。
現場の問題意識をエビデンスと政策の言葉に翻訳し、提言を一度きりの発信で終わらせず、実装・評価・改善へとつなげるには、立場や領域を越えた継続的な対話が欠かせません。ここで生まれたつながりを一過性のものとせず、次の対話と協働へつなげていきたいと思います。
十川 麗美コメント
ゲノム医療が急速に進展する一方で、実際の医療現場や社会の中では、「知識が十分に届いていない」「必要な人が適切な情報や支援につながりにくい」「遺伝について学ぶ機会が限られている」といった課題も見えてきています。
今回の提言では、遺伝性腫瘍を一つの入り口として、学校教育や市民啓発の中で、遺伝やゲノムについてどのように伝え、社会全体の理解を高めていくかを考えました。
ゲノム医療が進む中で、認定遺伝カウンセラーの立場から、うまくいかなかったことや困ったことを単なる問題として終わらせるのではなく、より良い仕組みや教育につなげていくことが重要だと考えています。
医療だけで完結させるのではなく、教育、行政、地域、そして市民の皆さまとともに、誰もが必要なときに遺伝・ゲノムの情報を理解し、活用できる社会につなげていきたいと思います。
平山 貴一コメント(こちらと同内容です)
今回、受賞に至ったのも、フィールドで出会った個別事例をコミュニティでの関心事とし、コミュニティでできることを一緒になって行い、コミュニティでできないこと、そして同じ事例に出会ったらどうするかとシステム化して考えていく際に、この Policy makers lab のみなさんと一緒に政策化を意識し、実現のために提言していった積み重ねによるものと思います。私自身、政策案は現場で感じた切実さを関係者との門戸を開く「共感のバトン」だと考えています。今後も、フィールドでは MHPRPSS のレンズを持ってこのフィールドと政策をつなぐ Field-based Policy Making の活動を継続して行ければと思っております。
稲葉 可奈子コメント
今回は学生企画のセッションに登壇し、医学部生と、様々な立場の医師とで 2040 年に向けての医療制度をディスカッションしました。これからの日本の医療を学生さんたちが熱心に考えていることを嬉しく思う一方で、変化の時代に不安も感じていることも実感しました。次世代の希望となるよう、目の前の医療だけでなく、社会全体を俯瞰して、医療体制自体も社会の変化に則して柔軟に対応していく必要性を改めて痛感しました。
なお、話が尽きず、後日オンラインで、全国の医学部生が参加できる形で延長戦が実施されました(笑)。
福岡 功慶コメント
データに基づく素晴らしい政策案が具体化しないのはなぜなのか、参加者の皆さんのそんなフラストレーションを解決する細やかな手掛かりが提供できたのではないかと思っています。非常に熱心に聞いていただき、質問・挨拶の列が途切れなかったのも印象的でした。
糀谷 泰彦コメント
第 2 回学術集会を聴講して印象に残ったのは、提言をどのように実装へつなげるかという問いが、一般演題から企画シンポジウムまでを通底していたことです。現場の困りごとを起点に据えた発表が多く、医療の課題が個人・組織・制度のどの層から立ち上がっているのかを、立場の異なる参加者が同じ場で確かめられました。
一方で、提言が政策として形になるまでには、なお多くの段階があります。目標をどこまで定量化するか、どの政策ツールを選ぶか。こうした検討の型が共有されていけば、個々の提言はさらに積み上がっていくと感じました。政策案づくりの手順を型として示すことは、Policy makers lab が日頃取り組んでいる領域でもあります。今後もこのような場で議論を重ねる機会があればと考えております。
