3.1 未来のために何をすべきか - 日ASEANの経済統合の深化、日インド・アフリカ経済圏の構築
福岡 功慶 | |
PROFILE 2007年東京大学工学部計数工学科卒、2018年米国イェール大学 総合学術大学院 国際・開発経済学修士。 国家公務員として化学産業、ヘルスケア産業の振興業務に従事。その後、タイへの駐在、インフラ輸出や日本企業の海外サプライチェーンの高度化、南西アジアの担当を経て、現在は洋上風力事業の推進を担う。 そのような中、民間有志との議論を通じ、現場の問題意識に基づき、真に社会に影響力のある政策案を立案したいという思いから、Policy makers labを設立。 |
日ASEANの経済統合深化:デジタル公共基盤の共同所有・利用
これまでの人・モノ・カネの自由な行き来に加えて、グローバルサウス連携の根幹であるASEANとは「データ」の行き来について、段違いに自由度を上げます。
具体的には、下記のとおり、ハード、OS、ソフトの共同所有・利用を通じて、イノベーション促進や、生産性向上を劇的に進め、日本企業の競争力が圧倒的に強化することが可能になります。
- ハード面:海底ケーブル、衛星通信などの共同所有・利用を推進
- OS:日ASEAN版 GAIA-X、IDSの構築
- ソフト:貿易DXシステム、製造企業間のサプライチェーンデータ共有
加えて、これらの地域からの産品については、補助金協調など、市場アクセスを関税でない形で制限(新たな簡易で緩やかな協定で担保)することにより、日ASEAN地域大での産業育成を実現することが可能になります。その際、地域大で育成する産業重点分野は次世代自動車、電力・エネルギー、バッテリー・半導体SC、ヘルスケアが想定されます。
以上により、地域大での産業競争力強化と自国の産業競争力を一体的に強化します。
インド・アフリカ新経済圏の構築
この60年におけるASEANにおける日本企業の産業集積が、現在の日本産業の財産となっています。次の50年を見据えて、日本企業によるインド投資をどれだけ増やし、日本企業の集積を作れるかが日本産業の生命線になります。
その際、日本とインドの2国間関係にしてしまうと、インドは日本からの貿易赤字を減らしたいという議論に向かってしまうため、日本とインドでアフリカ・世界への輸出を増やすという方向に進めていくことがWin-Winを最大化するために重要です。
以上を踏まえ、日印第三国連携等によるアフリカ展開を推進します。具体的には、以下の支援を行うことで、日本企業のインドにおける集積を作り、インド・アフリカ市場獲得を抜本的に進めることができます。
- インドからの輸出促進のためのインフラ整備(特に工業団地周りの、港湾、道路、水道、電力)支援を、ODAを通じて支援
- 日本企業の輸出拠点設立に向けた設備投資・サプライチェーン構築支援を補助金や政策金融を使って支援
目次
環の構成
3. 未来のために何をすべきか
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