3.6 未来のために何をすべきか - 基盤としての先進国協調、中国との戦略的互恵関係の構築
福岡 功慶 | |
PROFILE 2007年東京大学工学部計数工学科卒、2018年米国イェール大学 総合学術大学院 国際・開発経済学修士。 国家公務員として化学産業、ヘルスケア産業の振興業務に従事。その後、タイへの駐在、インフラ輸出や日本企業の海外サプライチェーンの高度化、南西アジアの担当を経て、現在は洋上風力事業の推進を担う。 そのような中、民間有志との議論を通じ、現場の問題意識に基づき、真に社会に影響力のある政策案を立案したいという思いから、Policy makers labを設立。 |
基盤としての先進国協調
日米(含む2+2)、日EU、G7、IPEF、QUADなどの枠組みを重視することが引き続き重要です。
中国との戦略的互恵関係の構築
隣国が世界最大規模の市場であることは、日本にとってのアドバンテージです。国内市場が縮小していくなかで、中国市場を活用するのは日本の産業競争力を維持・向上させていくのに不可欠です。ただし、経済安全保障上のリスクを踏まえた海外展開が必要になります。具体的には、技術流出に繋がるような投資は避ける、輸出の場合は、外為法上の貿易管理品目は制度に則るとともに、売り上げ先としての中国への依存度を過剰にしない(※)ことが重要です。その上で、中国向けに部素材から地域産品まで幅広く輸出を強化していくこともまた、「リアリズム」の観点から求められます。そして、「多様化」の観点から中国市場向けを増やすと共に、過度な中国依存を減らすために他の、主にグローバルサウスの国々への海外展開を同時に進めていくことが極めて重要です。そのために、日本企業の中国展開を以下の取組を進めることが重要です。
- 日本企業による重点分野(部素材、地域・農林水産品等)の輸出について、日本貿易振興機構(JETRO)による伴奏支援を強化
- 第三国協力についても4原則を踏まえて協力強化(日中第三国市場協力フォーラム)
※例えば、ニュージーランドは企業における中国向け売り上げを1/3以上にしないことを奨励しています。
目次
環の構成
3. 未来のために何をすべきか
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